さまざまな悩みを持つ人の電話相談に年中無休で対応している社会福祉法人「奈良いのちの電話協会」(奈良市)が、電話相談員を募集している。昨年の相談件数は1万8371件で、前年から427件減少。電話を受ける相談員が不足し、対応が難しくなっているのが要因といい、同協会は「悩みを抱えている人のために、1人でも多くの人に相談員になってほしい」としている。
「奈良いのちの電話」は昭和54年に全国で8番目に開設された。同協会によると、相談件数は平成25年から年々減少し、28年に初めて2万件を切った。その原因とされるのが、相談員の減少だ。11年のピーク時には338人いたが、昨年12月時点で約180人に。相談員の大半は女性だが、時代の変化によって主力だった専業主婦が減ったほか、高齢化による体調悪化や家族の介護を理由とする離職が進んでいるという。
だが、一方で「死にたい」など、生死に関わる緊急性の高い相談も全体の約9%(1624件)あり、いのちの電話が悩める人たちの生命線である事実は変わりない。同協会の中谷博幸事務局長は、「電話をかけてくる人は、相談員の声を聞くとその存在に安心する。相談員をこれ以上減らすわけにはいかない」と話した。
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同協会では相談員の養成講座を4〜11月に前期と後期に分けて実施する。4月13日まで参加者50人を募集している。受講資格は満21歳以上70歳未満。講座は毎週土曜日で、臨床心理士や大学教授ら専門家を講師にカウンセリングのほか、ひきこもりやDVなど、相談事例に多い社会問題の実態について学ぶ。受講料は各期2万5千円(別途宿泊研修費などが必要)。詳細は奈良いのちの電話ホームページ(http://www.nara-inochi.jp/)問い合わせは同協会(電)0742・35・0500。