中国の対外投資が急ブレーキ、3割減で初の前年割れ 米欧が警戒、中国自身の資本流出規制も追い打ち

 中国の対外投資に急ブレーキがかかっている。中国商務省のまとめで、中国企業が2017年に海外で行った直接投資(金融分野を除く)は総額1200億8000万ドル(約13兆円)と、前年を29.4%下回った。中国の対外投資額で前年割れは03年の統計公表開始後、初めて。安全保障上の理由などから、米欧で中国からの投資や買収に拒否反応を示すケースが増えていることに加え、海外への不正な資金流出を警戒する中国政府の規制強化も追い打ちをかけている。(香港 河崎真澄)

 習近平指導部が進めている現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」に関連し、スリランカやパキスタン、ジブチなどのプロジェクトで、中国による軍事転用の懸念が強まり、米欧が対中警戒をこれまで以上に強めた点が急ブレーキの背景にある。

 中国の電子商取引大手アリババ集団の関連会社による米国の国際送金大手マネーグラム社の買収計画が昨年末までに事実上、拒否されたのが典型例だ。総額12億ドルに上るTOB(株式公開買い付け)計画だったが、対米外国投資委員会(CFIUS)が計画の申請を承認しなかったという。

 CFIUSは米財務省が主導する審査機関。マネーグラム社の買収計画をめぐり、具体的にどのような懸念があったかは明らかにしていない。ただ、CFIUSは通常、外国企業による米企業買収に関し安全保障上の懸念がある場合、買収拒否を大統領に勧告する機能がある。

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