3号機の審査が申請された場合、基準地震動は2号機で既に了承されているため審査の必要はなく、さらに原子炉が29年11月に審査に合格した東京電力柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)と同じ改良型沸騰水型(ABWR)のため、お手本が存在するという有利な面がある。
規制委の更田(ふけた)豊志委員長は2月21日の会見で「柏崎刈羽での審査の経験が申請側、規制委側双方にとって生きる部分はあるだろう」と指摘。一方、3号機が新しい炉であることから「往々にして合理的設計がとられており、耐震性などで新しい炉だから余裕があるかというと必ずしもそうではない。審査に入ってみないと分からない」とも述べた。
再稼働が必要な理由
中国電によると、島根原発の安全対策費は、廃炉が決まった1号機を含む1〜3号機で4000億円を超えると試算されている。それでも再稼働を目指すのは「停止した原発を維持し、火力発電などで電力をまかなうことによる損失が、直近の燃料価格を踏まえると年470億円程度に上る」(同社)ためだ。
また、同社は28年度に火力発電が占める割合が約9割で、全国平均の約8割を上回っている。石炭火力の比率も全国平均の約3割に対し、6割弱と高い。原発停止の穴を火力発電で埋めることは、地球温暖化をもたらす二酸化炭素の排出増加につながるため、環境問題の観点からも、同社には原発を再稼働を急ぐ理由がある。