主張

習氏の任期延長 歯止めなき独裁が心配だ

 中国の習近平政権が、国家主席の任期を2期10年とする憲法の規定を取り払う案を示した。3月の全国人民代表大会での採択が確実視される。

 権限の強化では飽きたらず、任期制限まで取り払う。ただでさえ共産党の一党独裁下にある中国で、トップに一段と権力が集中し、歯止めがかからなくなりかねない。

 独裁政権の長期化による、国内外への悪影響を懸念する。

 14年ぶりとなる改憲案では、既に「習近平による新時代の中国の特色ある社会主義思想」を、国家の指導理念として憲法前文に明記する方針が示されている。

 これに加え、政権を続ける時間的な制約までなくすものだ。

 昨年10月の第19回党大会で、習氏は社会主義現代化を掲げて「2035年」という長期の日程を提示した。党政治局常務委員の人事では、後継者となるべき50歳代の起用が見送られた。

 いずれも習氏自身の長期政権に向けた布石だったと受け取れる。権力を強化し、その長期化を図る姿は露骨にもみえる。

 国家主席の職務が任期付きで憲法に明記されているのは、毛沢東時代を総括した結果だ。個人独裁の横行を抑え、集団指導体制を確立する。その一翼を担ったルールである。

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