乳児期に適切な栄養状態→肥満になりにくくなる可能性 医科歯科大・九大グループ 「分子レベルで明らかに」

 乳児期に適切な栄養状態に保つなどの環境を作ってやると、遺伝子にその記憶が残り、将来、肥満や2型糖尿病になりにくくなる可能性がマウスの実験で示された。専門家は「よい環境で乳児期を過ごすことの大切さを分子レベルで明らかにしたもの」と話す。

 研究を行ったのは、九州大大学院医学研究院の小川佳宏教授と東京医科歯科大大学院の橋本貢士准教授らのグループ。小川教授らは、人間で妊娠後期と授乳期にあたる母親マウスに対し、血中の脂質を感知して遺伝子の働きを強める体内のセンサーを活性化する薬剤を投与。すると、その薬剤が母乳に移行し、それを摂取した子のマウスの体内で、脂肪燃焼促進などの作用を持つFGF21という遺伝子の働きが強まることが分かった。

 また、その状態が将来も続くかを確かめるため、人間で成人にあたる時期まで観察を続けたところ、離乳後は薬剤などを摂取していないにもかかわらず、FGF21の働きが強いままの状態であることも分かった。それを裏付けるように、成人にあたる時期に脂肪分の多い食事を与えても、太りにくいとのデータも出た。

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