関西の議論

白票水増し・投票用紙焼却、前代未聞の不正はなぜ起きた…甲賀市選管のずさん管理態勢

 総務部長らは市選管の聴取後、県警甲賀署に出向き自分たちの不正を説明。市は3人に自宅待機を命じ、役職を更迭した。

 昨年の衆院選滋賀4区には新人3氏が立候補。自民党候補が8万114票を獲得して初当選し、希望の党候補が6万4617票、共産党候補が2万2896票だった。

 市選管は比例代表の惜敗率も含めて「選挙結果には影響はない」としているが、選挙の公平性と信頼性を揺るがす行為に、市内外からは「(市民に)恥をかかせた」「何をやったか分かっているのか」といった批判の電話が70本強、寄せられたという。

複雑な開票手順

 そもそも投票用紙の行方が分からなくなったのはなぜなのか。

 開票作業は昨年10月22日、市内の甲南情報交流センターで行われた。衆院選と市議選が重なり、各投票所から届く投票箱は前回衆院選より100個多い400個に。前回のように開票作業を行うホール内に収まりきらないため、ホール前の楽屋にいったん届いた投票箱を集めた。

 開票作業では、楽屋から投票箱をホール内に運んで投票用紙を取り出し、立会人が確認した上で、再びホール外に運び出し「レッスン室」と呼ばれる別の部屋に空き箱を保管することになっていたが、ここで手違いが起こったとみられる。

 職員に配られたマニュアルには動線を表すいくつもの矢印が書きこまれ、一見しただけでは理解できないほどだが、「数が合って当たり前という意識があり、投票箱が無くなることは想定すらしていなかった」(市選管)と事前に問題視する声はなかったという。

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