大阪・ミナミの繁華街で平成27年5月に行われた不発弾の撤去をめぐり、防護壁の設置や警備にかかる費用約580万円を支払った土地所有者3人が、費用は大阪市と国が負担すべきだと求めた訴訟の判決が26日、大阪地裁であった。比嘉一美裁判長は「国民が受忍しなければならない戦争損害」などとして請求を棄却した。
不発弾処理の費用を誰が負担すべきか明示した法令はなく、所有者側は災害対策基本法や自衛隊法を挙げ、「戦後処理の一環として行政が処理責任を負うべきだ」と主張していた。
比嘉裁判長は判決理由で、災害対策基本法の適用は行政機関に裁量があると指摘。同法を適用しなかった大阪市の判断は、「妥当でなかったとはいえない」とした。また、自衛隊法の規定も不発弾処理や費用を負担する義務を課すものではないとした。
判決によると、不発弾は米軍が投下したとみられる1トン爆弾。同年3月に大阪市浪速区のマンション建設現場で見つかり、信管が残った状態だったため、自衛隊が撤去した。作業の際は不発弾から半径約300メートル以内を立ち入り禁止とし、南海難波駅を発着する電車も一時運休した。
吉村洋文市長は記者団に「基本的には所有者が民法上の義務を負う。正当な判決が下された」と述べた。国は「主張が認められた」とのコメントを出した。