その他の写真を見る (1/4枚)
国内外の心臓病の子供たちを救う「明美ちゃん基金」(産経新聞厚生文化事業団運営)の医療団は、今月4日から約1週間にわたりミャンマー・ヤンゴンを訪れ、国立ヤンキン子供病院で活動、42人の子供に治療を行った。6回目となった今回の渡航で目を引いたのは、現地医師の医療技術の向上だ。
「すっかり元気になったね。ずっと心配していたけど、これなら大丈夫」
7日、ヤンキン子供病院に見覚えのある男の子が姿を見せると、国立循環器病研究センターの市川肇医師(60)は、思わず笑顔を浮かべた。昨年9月の医療団の渡航時に房室中隔欠損症の手術を受けたピョー・ティハ・チョー君(2)だ。
本来もっと小さいときに手術を受けるべき疾患で、治療時の状態はかなり悪化していた。医療団はミャンマーの医師とともに心房にある穴をふさぎ、不完全な形だった心臓の弁を形成した。しかし事前の想定ほど心臓の動きが回復しない。
「揚力を得られない飛行機が低空飛行をしているような状態だった」と市川医師。「子供の心臓はある程度体力が回復すれば急に動きがよくなる。日本なら心臓の働きをカバーしつつ上昇気流に乗るのを待つが、それを現地でできるかが心配だった」と振り返る。