「韓国の選手に4年間かけて教えてきたことを、北朝鮮の選手には10日あまりで詰め込まなければならなかった」-。平昌五輪のアイスホッケー女子で、韓国と北朝鮮との「南北合同チーム」の監督を務めたサラ・マリー氏が、閉幕を前に韓国メディアなどの取材に応じた。そこで語られたのは、急造チームを率いることになった指揮官としての「苦悩」だった。
韓国紙の朝鮮日報(日本語電子版)によると、2014年に韓国女子代表の監督に就任したマリー氏が、南北合同チーム結成の一報を聞いたのは韓国代表選手を選考した2日後のことだった。マリー氏は当初、韓国代表選手の出場機会が奪われることを懸念したが、選手たちには「南北合同チームの結成は私たちの手を離れた問題だ。これを受け入れて試合に集中しよう」と説明したという。
合同チームが結成されてからは「昼はホッケー・スティックを持ち、夜は戦術ビデオを見て毎日を過ごした」(マリー氏)。急造チームで臨んだ五輪本番では1次リーグB組で0勝3敗、1得点20失点と散々な結果に終わったが、マリー氏は「韓国の選手も北朝鮮の選手も勝ちたいという情熱は強かった」と振り返っている。
「また南北合同チームの監督を引き受ける気持ちはあるか」という質問に対し、マリー氏は明言を避けつつ、「少なくとも4年間の準備期間が必要になるだろう」と今回の措置をチクリと皮肉った。(五輪速報班)