血液製剤の輸血で80代女性がE型肝炎ウイルスに感染、約100日後に劇症肝炎(急性肝不全)で死亡していたことが先月末、厚生労働省の有識者会議で報告された。E型肝炎ウイルスは主に、よく加熱されていない豚や野生動物の肉を食べることなどで感染する。同会議で報告した日本赤十字社は、当分の間、加熱不十分な肉を食べるなどした人に献血の自粛を呼びかけている。(平沢裕子)
感染気付かず献血
日赤によると、死亡した80代女性は多発性骨髄腫の治療中だった。抗がん剤による肝機能の低下に加え、輸血でE型肝炎ウイルスに感染したことが複合要因となり、劇症肝炎を発症したとみられる。
献血者の血液から、死亡した女性から検出されたものと同じウイルスが検出されている。献血者はE型肝炎を発症していないが、献血の約2カ月前に生の鹿肉を食べ、E型肝炎に感染した可能性があるという。
E型肝炎は、E型肝炎ウイルスに汚染された肉や水などの摂取で感染する。食品安全委員会の委員も務めた川崎市健康安全研究所の岡部信彦所長は「症状がないまま治癒する場合が大多数のため、感染に気付かない人も少なくない」と指摘する。