利益至上主義で犯罪に手を染めてしまう企業は後を絶たないが、知らぬ間にさらなる悪事の「道具」にされるとは想像しなかったのだろうか-。マイクロソフト社の基本ソフト(OS)「ウィンドウズ」を改変したパソコンを販売したとして、商標法違反容疑でIT会社「ビレイ」(名古屋市)の社長らが警視庁に逮捕された。改変によって生じたソフトの脆弱(ぜいじゃく)性が中国人犯罪グループに目をつけられ、3千万円以上の不正送金の「中継点」として利用されることになった。社長らは異変に気づいていたというが、対策を怠ったツケが重大な結果を引き起こした。
「複数人で同時利用を」
平成24年、東京都渋谷区と北九州市内の美容室に、2台のパソコンが納入された。レジや顧客管理をするために美容室がビレイから購入したものだった。
いずれもOSとして「ウィンドウズ7プロフェッショナル」が搭載されているとされていたが、本来であれば複数のアカウントから同時にログオンできない仕様になっているところを、別のパソコンからも同時にログオンできるよう改変されていたという。