河野太郎外相の諮問機関「気候変動に関する有識者会合」は19日、原子力発電への依存度低減などを盛り込んだエネルギー政策の提言を取りまとめた。政府は現在、安全性が確認された原発の再稼働や、2030年度目標で電力の20〜22%を原発でまかなうとするエネルギー基本計画の見直し作業を進めているが、提言は政府に政策の転換を促す狙いがありそうだ。
提言は、二酸化炭素排出の多い石炭火力を進める政府方針を「国際社会の批判を受け、日本外交の隘(あい)路(ろ)ともなり始めている」と指摘。電力の安定供給に向けた「ベースロード電源」として原子力が必要だとする考え方を「過去のもの」と切り捨てた。
その上で、国家の信頼を高める「再生可能エネルギー外交」として、脱炭素化社会に向け、途上国への技術支援や非政府団体との連携、国内石炭火力の段階的廃止の工程を示すことなどを求めた。