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大林宣彦監督(80)が「第91回キネマ旬報ベスト・テン表彰式」に出席し、「あと30年は映画を作る」と力強いスピーチを披露した。肺がんとの闘病生活を送っている。「がんごときで誰が死ねるか」。若いクリエーターたちに映画人の神髄を見せつけた。
病気乗り越え映画完成
2月12日に東京都内で開かれた表彰式は2017年公開作品を対象としたもので、大林監督は「花筐(はながたみ)/HANAGATAMI」で日本映画監督賞を受賞した。
「花筐」は佐賀県唐津市を舞台に作家、檀一雄(1912〜76年)の同名小説を映画化した。先の大戦の開戦を前にした41年の春。恋愛、友情、忍び寄る死に葛藤する若者たちの姿を描いた青春群像劇だ。
脚本も共同で執筆した大林監督は「反戦の思いを込めた」といい、本作を「この空の花」(2011年)「野のなななのか」(14年)に続く「戦争3部作」の最終章と位置づけている。
この映画のクランクインを前にした2016年夏、肺がんが判明した。医師から「3カ月」の余命宣告されたが、大林監督は並々ならぬ精神力で映画の完成にこぎつけた。