チャーチル元英首相、見誤った日本観 マレー作戦を予測→日本軍を過小評価しシンガポール陥落

 また、同館所蔵の英情報局保安部(MI5)副長官のリッデル日記の同12月6日付には、「米国は日本がタイに進駐すれば、完全に英国をサポートすることに同意した。日本の軍艦に護送された輸送船がタイに向かっている。進攻は差し迫っている」と記し、2日後に控えたマレー作戦開始をリアルタイムで捉えていた。

 しかしケンブリッジ大チャーチル文書記録センター所蔵の文書によると、英政府内で日本軍がマレー進攻に向けてタイへ進駐するとの見方が支配的となった同年12月2日、チャーチルはイーデン外相に、「日本がタイに進駐しても英国への攻撃は差し迫っていない。基地化には数カ月かかる」と述べ、日本軍による危機の観測を見誤っていた。

 同館所蔵の内閣安全保障委員会議事録によると、チャーチルは同5月にも、「日本は、英国が敗北することが明らかになったときに参戦し、危険が及ばなくなった段階で戦利品をかすめ取るだろう」と発言。日本の軍事的脅威を軽視しており、同4月の同委員会では日本には戦力を遠くに配置する余裕はなく「シンガポール攻撃の可能性は低い」と断言していた。日本は英国を攻撃する力を持つ国ではないとの固定観念を持っていたとみられる。

会員限定記事会員サービス詳細