■農業の自由さ前面に、動画も公開
有田市は、ミカン農家の後継者を募ろうと、農家の魅力をまとめた冊子「Be Farmer」を作製し、各地の農業高校や大学に配布した。「みかんはいつでも食べ放題」「金髪、ひげ、アフロもOK」と農業の自由さを前面に押し出したほか、ミカンの栽培や加工品の製造などに携わる若者に、仕事に懸ける思いを聞いた記事を掲載。就農PR動画も作製し、動画投稿サイト「ユーチューブ」で公開している。
地域の魅力発信に向けた国の補助金を活用した。同市によると、ミカン農家の担い手は減少傾向にある。農地を維持管理し、産地として生産量を保つため、新たな担い手の確保と育成が課題となっているという。
今回、作製した冊子では、「市の農業」「みかん農家ってけっこうアリかもな話」「農業の現場から」などと項目を分けた。ミカンの生産量全国シェア1位を誇る有田みかんのブランド力や、山の急斜面に段々畑が広がり、海ものぞめる仕事環境のすばらしさを写真やイラストを使って紹介。また、「足腰が強くなるかも」「(ビタミンCが豊富で)美肌ばっかり」などとジョークも交えてアピールした。
さらに、会社員を辞めて農業を始めた夫婦やミカンを使った6次産業化に取り組む地元企業の社員らのインタビュー記事も掲載。「やればやるだけ成果があることを信じて頑張ってほしい」「もっと多くの人に有田みかんのおいしさを知ってもらいたい」などと語るインタビューの内容はユーチューブでも見ることができる。
市有田みかん課の北口敦夫課長は「天候が悪い年でも平均以上のミカンを育てることができる農家が多いのは、土地の良さだけではなく、生産者がプライドを持って取り組んでくれているから。産地を守るためにも、若い世代への就農PRを続けていきたい」と話している。