タイヤ製造大手、住友ゴム工業(神戸市)の元従業員7人が、アスベスト(石綿)や石綿を含む「タルク」が原因で肺がんや中皮腫を発症したり死亡したりしたとして、遺族らが同社に計約1億3300万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が14日、神戸地裁であった。本多久美子裁判長(黒田豊裁判長代読)は7人のうち5人の因果関係を認め、同社に約5900万円の支払いを命じた。
本多裁判長は判決で、5人が昭和20年以降、旧神戸工場(同市)と泉大津工場(大阪府泉大津市)で勤務していた際、タイヤの製造過程で発生するタルクの粉塵(ふんじん)などを吸引した可能性が高いと指摘。旧じん肺法が成立した昭和35年までには、同社が危険性を認識して粉塵対策をすべきだったのに怠ったと指摘した。
残る2人については、石綿を多量に吸引したとは「推認できない」とした。
判決後、原告側弁護団は「石綿訴訟でタルクを原因と認めた判決は初めてだろう。同種訴訟への影響は大きい」と評価した。
住友ゴム工業は「残念な結果。判決内容を精査し、今後の対応を決めたい」とコメントした。