今後の圏央道は成田空港とつながる利点を生かし、観光振興の促進が大きな課題となる。昨年の訪日客は2800万人に達したが、観光の流れは依然、東京から京都、大阪をめぐる「ゴールデンルート」が中心だ。圏央道には、これを首都圏全域や地方に波及させる役割が期待される。
国土交通省の「29年版首都圏白書」によると、首都圏の交通渋滞による経済的な損失は80万人分の労働力に匹敵するという。交通渋滞に伴う損失時間は、全国で約280万人分の労働力を失うことに匹敵し、その約3割が首都圏で発生している。
首都圏では「3環状」と呼ばれる道路の整備が進められてきた。27年に開業した首都高の中央環状線、東京外郭環状道路(外環道)、それに圏央道だ。外環道の完成は32年以降となりそうだが、この3環状が開通すれば、労働力の喪失につながる都心の交通渋滞の解消にもさらに大きな効果が見込める。
人口減少時代を迎える日本で、なお人口の流入が続く首都圏が果たす役割は一段と重くなっている。今後は社会の生産性を高める視点から、道路ネットワークの活用を考える必要がある。