圏央道の役割は明確だ。首都圏から放射状に延びる高速道路を横断し、都心を通らずに別の高速道路を利用できるバイパス効果である。都心から半径40-60キロ圏を渡り廊下で結び、渋滞なしに縦横に行き来する首都圏回廊としての機能である。
圏央道の段階的な開通で、首都圏の広域交通は大きく変わった。27年10月に圏央道の埼玉県内の区間が開通し、東名高速と東北道がつながった。両高速間の所要時間は首都高を経由した場合、2時間以上かかっていたが、これが圏央道経由にすると約75分に短縮した。
さらに昨年2月には茨城県内の区間も完成し、常磐道のほか、東関東道を経由して成田空港にも接続した。それまで中央道から常磐道までの通行は、首都高経由が7割を占めていたが、圏央道につながったことで3割に激減。所要時間も短くなり、都心部の渋滞も減少した。
圏央道の整備は、企業立地にも追い風となっている。最近では米アマゾンなどネット通販による宅配が急増しているが、圏央道沿線には約1600カ所の物流施設が集積し、首都圏に対する配送基地などとして暮らしや産業を支える役割も果たしている。