安倍晋三首相、慰安婦合意は「最終的解決の合意」 日韓首脳会談で伝達 文在寅氏「破棄せず」表明 

 【平昌=田北真樹子、ソウル=名村隆寛】安倍晋三首相は9日、平昌五輪開会式出席に先立ち、韓国・平昌のホテルで文在寅(ムン・ジェイン)大統領と会談した。慰安婦問題をめぐる日韓合意について「合意は最終的かつ不可逆的に解決したとの合意であり、国と国の約束は2国間関係の基盤である」と述べ、一方的に新たな措置を求める韓国の方針は受け入れられないことを明確に伝えた。ソウルの日本大使館前に設置されている慰安婦像の撤去を要請したほか、日本の朝鮮半島統治時代の徴用工の問題についても、既に解決済みとして適切な対応を求めた。

 日韓合意に関する首相の指摘に対し、文氏は(1)合意は破棄しない(2)再交渉しない(3)合意に基づき設立された韓国の「和解・癒やし財団」を解散しない(4)日本が拠出した10億円は返還しない-ことを表明した。ただ文氏は、合意を受け入れていない元慰安婦がいるなどとして、慰安婦問題は解決していないとの認識を示した。また、首相に解決に向けた協力を呼びかけたが、首相は応じなかった。

 一方、両首脳は、核・ミサイル開発を継続する北朝鮮に対し、日米で確認した圧力を最大限まで高める方針を改めて確認。朝鮮半島有事に備え、韓国内の在留邦人の退避や安全確保に向けた連携でも一致した。首相は拉致問題の早期解決に向け、引き続き緊密に連携したい考えを伝えた。

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