スポーツの祭典はまたもや政治ショーの舞台と化した。9日の平昌冬季五輪開会式で、韓国は北朝鮮との合同入場行進を行い、平和と統一をアピール。北は五輪での融和姿勢を打ち出し、核・ミサイル開発から国際社会の圧力をそらそうとしている。一方、ロシアのプーチン大統領は、選手を締め出した組織的なドーピングを米国の陰謀と位置づける。反米色を強めて国民の団結を図り、通算4選を目指す3月のロシア大統領選を乗り切ろうとしている。(佐々木正明)
北朝鮮は今回、特例で参加が認められた。女子アイスホッケーの南北合同チームを率いるサラ・マリー監督は祖国カナダのメディアに「合同チームを組むことに、私に選択肢はなかった」と語った。五輪に臨むスポーツの現場が半ば無視される形で、政治優先で融和モードが醸し出された。
平和の象徴である五輪が南北の緊張緩和につながればこしたことはないが、北は開幕前日に平壌で、米本土を狙った大陸間弾道ミサイル(ICBM)を誇示する大規模軍事パレードを実施。菅義偉(すが・よしひで)官房長官は平昌五輪を機に融和姿勢を示していることについて、「(目的は)核・ミサイル開発から国際社会の目をそらすことだ」と語った。