埼玉グローバル賞に芝園団地など1個人3団体 高齢者・中国人、共生の街

 ■当初は不満…交流・SNSで相互理解

 地域の国際化に向けて地道な活動を続ける個人・団体を顕彰する「埼玉グローバル賞」(県主催)の表彰式が7日、さいたま市の知事公館で行われた。北本氏の津軽三味線奏者、山中信人さん(43)とNPO法人ら3団体が受賞し、同時に埼玉親善大使を委嘱した。

 山中さんは昨年、津軽三味線の世界大会で2連覇を果たしたことや国際交流活動に積極的に取り組む姿勢が評価され、「世界への挑戦」分野で受賞した。

 「未来への投資」分野では、タイなどで職業訓練事業を行うNPO法人「国際協力NGO・IV-JAPAN」(さいたま市)とバングラデシュで教育支援を行うNPO法人「YOU&MEファミリー」(草加市)が受賞した。

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 「地域国際化」分野で受賞した芝園団地自治会(川口市)の岡崎広樹事務局長は受賞のあいさつで「同じような課題に取り組む地域の参考になればいいと思います」と話していた。

 「埼玉グローバル賞」を受賞した川口市芝園町の芝園団地自治会は1月に国際交流基金の地球市民賞の受賞も決定している。マンモス団地内で日本人と外国人が共存する姿に注目が集まっている。

 JR蕨駅から徒歩15分ほどの場所にある同団地に住む約5千人のうち半数以上が外国人で、その大半が中国人。チャイナタウンならぬチャイナ団地となっており、周辺には中国料理店や中国人向けのスーパーがある。

 平成初期から中国人を中心に外国人が増え始め、同21年には住民の約4割が中国人となった。ゴミを分別しなかったり、騒いだりする中国人の中には日本語が通じない人も多く、文化や言語の違いから住民の不満が蓄積した。新規入居者のほとんどが外国人の上、日本人住民の大半は長期間住んでいる高齢者という側面もあり、相互理解が進まなかった。

 住民らの不満を解消するため、23年ごろから同自治会は住民間の交流イベントや中国語での注意書き、SNSを活用した情報発信などを行い、少しずつ状況を改善していった。自治会にほとんど参加していなかった中国人も現在では約30世帯が加入しているという。

 交流イベントは学生団体「芝園かけはしプロジェクト」の協力の下、月1回のペースで行われている。同自治会の韮沢勝司会長は「日本人高齢者からしたら孫が遊びに来てくれるような感覚で、中国人の若者には外国人の友達が遊びに来る感覚で、双方が集まりやすい場になっている」と意義を語った。

 30年以上同団地に住んでいるという韮沢会長は「言葉が通じなかったりして困ることもあったが、この10年くらいでだいぶ改善された。表彰していただけるのはうれしく、今後も国際交流に取り組んでいきたい」と語った。(川上響)

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