野口健の直球&曲球

エベレスト挑戦、富士山の清掃活動…どう伝えれば関心を寄せてくれるのか考えてきた

 「冒険とはお金がかかるもの。金を集めるところから冒険は始まっている。高校を卒業した以上、これからは自分で金を集めろ。自分で金を集めることができなければ山なんか登るな」。高校卒業直後に父に言われた言葉が胸にストンと落ちた。しかし、全く無名の一学生であり、どうやってお金を集めるのか途方に暮れ、父に尋ねたら「俺は役人だ。金の集め方なんかわからない。自分で考えろ」と。

 まだインターネットがない時代。企業を調べるのも簡単ではない。会社四季報なる本を手に入れ、片っ端から企業に電話をかけ続ける。しかし、話を聞いてくれる企業はなかなか現れない。憂鬱になりながらも電話をかけ続けるしか「先」はなかった。

 何しろエベレスト挑戦には1千万円以上かかる。登山計画書にはエベレストへの思いや情熱を書き込んだ。しかし、ある企業に持っていった際に「山登りとは所詮はお遊びでしょ!」「なんで君のお遊びにお金を出さなければならないんですか」と。返す言葉もなかった。「エベレストに行きたい」と一方的に伝えても通用しなかったのだ。