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今回、墜落した陸上自衛隊のAH64D戦闘ヘリコプターは、直前にメインローター(主回転翼)の中心部にある「メインローターヘッド」を定期整備で交換したばかりだった。墜落直前にメインローターが脱落したとの目撃情報もあり、防衛省は整備状況に問題がなかったか調査を進める。
メインローターヘッドは回転軸に取り付ける十字型の部品で、先端に4枚の羽根(ブレード)がボルトで接続されている。
陸自によると、ヘリは通常、25時間や50時間の飛行時間ごとに定期点検を実施。事故機は平成18年3月に配備され、飛行時間が規定の約1750時間前後となったため、メインローターヘッド全体を初めて交換したという。
複数の自衛隊のヘリパイロットによると、メインローターヘッドを含む整備後の点検飛行では、ローターの回転で生じる振動のチェックが重要になる。4枚の羽根のバランスが悪いと好ましくない振動が起こり、ボルトが緩んだりして飛行に悪影響を及ぼす。
このため点検飛行では、着陸状態▽ホバリング状態▽さまざまな速度での飛行-の順に、振動が許容範囲内にあるかをチェックし、飛行後にはボルトの緩み具合などを確認するという。
事故機は離陸後、少なくとも2分後の管制官との交信までは正常に飛行している。自衛隊幹部は「機長は離陸前の確認では振動が許容範囲内にあると判断して離陸したのだろう」と話す。