その他の写真を見る (1/2枚)
神武(じんむ)天皇の建国神話を題材に、昭和の音楽史の礎を築いた作曲家、信時潔(のぶとき・きよし)と詩人の北原白秋が昭和15年に作った交声曲「海道東征(かいどうとうせい)」を全曲演奏するコンサート「交声曲『海道東征』」(産経新聞社主催、滋慶学園グループなど協賛)が2日、大阪市北区のザ・シンフォニーホールで開かれた。大阪フィルハーモニー交響楽団の勇壮な音色と華麗な声楽の響きが約1700人の聴衆を魅了した。
2年ぶり3回目となる今回の大阪公演では、指揮者の山下一史さんがタクトを振り、日本を代表するソプラノ歌手で、初回から出演している幸田浩子(こ)さんらが全8章を約1時間にわたり高らかに披露した。
建国神話によると、後の神武天皇が国造りを目指して宮崎を出発し、瀬戸内から大阪、紀伊半島南部の熊野を経て奈良・橿原宮で即位したとされる。
同曲は神武天皇即位を紀元とする皇紀2600年の奉祝曲として昭和15年に作られた。「高千穂(たかちほ)」に始まり、「御船出(みふなで)」「海道回顧」など8章で構成。全国各地で演奏されたが、戦後は長く封印されてきた。
しかし、戦後70年で信時の没後50年という大きな節目の平成27年11月、信時の出身地の大阪で公演。大きな反響を呼び、昨年4月には東京公演も行われた。