話の肖像画

元プロレスラー ザ・デストロイヤー(1)素顔時代にハワイで会得した4の字固め

デビュー後は比較的順調で、55年にはプロレス専門誌から「新人王」に選ばれたりもしました。しかし、エドに代わってバファロー地区の興行主になったペドロ・マルチネスは、自分のお気に入りのレスラーをえこひいきして私を重要な試合で使わなくなり、怒った私は別の興行主、アル・カラシックの誘いでハワイに行くことにしました。

〈ハワイでは素顔時代のデストロイヤーにとって2つの転機が訪れる。うち一つは、必殺技「足4の字固め」の習得だ〉

足4の字固めは当時の名レスラー、バディ・ロジャースの得意技でした。自分の足の力強さを生かすため、この技をどうしても身に付けたかったのですが、他人の技を使うことにためらいがあった私は、ハワイを拠点とするレスラー兼興行主のロード・ブレアース(後に太平洋岸レスリング連盟=PWF=会長として来日歴多数)に相談しました。ブレアース自身はこの技を使いませんが、技のかけ方は知っていました。彼は私の熱意を察したのか、「やってみろよ、ディック。ただし、自分流のアレンジを加えるんだ」と背中を押してくれ、その場で床に座り、足4の字固めのコツについて手取り足取り教えてくれたのです。(聞き手 黒瀬悦成)

【プロフィル】ザ・デストロイヤー

1930年7月11日、米東部ニューヨーク州バファロー生まれ。シラキュース大大学院(教育学)修了。54年にプロレスデビュー。後に覆面レスラー「ザ・デストロイヤー」となり、覆面レスラー初の世界王者となる。63年に初来日し、日本プロレスと全日本プロレスで活躍。93年に日本で引退後は地元の同州アクロンで学校の体育教師や水泳、レスリングのコーチを務める一方、日米のスポーツ交流を推進。平成29(2017)年秋の外国人叙勲で旭日双光章を受章した。

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