越直美の市長のお仕事(2)

「待機児童ゼロ」に必要なもの

保育園で笑顔を見せる越直美・大津市長(左奥)
保育園で笑顔を見せる越直美・大津市長(左奥)

 「待機児童の解消」が叫ばれて久しいですが、昨年4月の全国の待機児童は約2万6千人。大津市では、平成27年4月から3年連続で、年度当初の待機児童ゼロを達成しています。「待機児童ゼロにするには、どうすればいいか」とよく聞かれます。

 まず、保育園のニーズをしっかり見積もること。大津市では、私が市長になった直後の平成24年4月の待機児童は、約150人でした。そこで、1年間でほぼ同数の保育園の整備をしましたが、待機児童の数は減らず。

 これは、保育園の申し込みをしていないので待機児童としてカウントされていないが、実際に保育園ができたら入園させたい-という潜在的なニーズが大きかったためです。結局、待機児童がゼロになるまでに整備した保育園の定員は、約1500人。待機児童の10倍になります。

 待機児童をゼロにするには、保育士の不足、保育園をつくる場所がない、など多くの問題があります。しかし、何よりも一番大切なのが、市長の覚悟です。待機児童ゼロ達成後も、毎年、保育園を増やし、これまでに約2千人分の保育園を整備しました。そのための予算は約28億円。市も、お金のある時代ではありません。結局、何か別の予算を削って、保育園に回すことになります。

 大津市でも、高齢者のマッサージ券や敬老祝い金などをなくしてきました。当然、「高齢者につめたい」と言われます。しかし、子育てにお金を使わなければ、高齢者を支える若者もいなくなってしまいます。批判があっても、税金の使い方を決めるのは一番大切な市長の仕事。覚悟が問われます。

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