論壇時評

2月号 「コミュ力」重視入試が階層分化を生む 恵まれた家庭の子女が有利に  文化部・磨井慎吾

大学入試センター試験に臨む受験生=13日午前、東京都文京区の東京大学(川口良介撮影)
大学入試センター試験に臨む受験生=13日午前、東京都文京区の東京大学(川口良介撮影)

論壇にも四季がある。そして歳時記がある。

「8月ジャーナリズム」と時に揶揄(やゆ)される毎夏恒例の戦争もの企画はその代表例だろう。いくつか時季に応じた定番特集がある中で、センター試験をはじめ各種学校の入学試験や年度替わりの制度変更を控えた立春前後のこの時期は、大学を中心とした教育問題に関心が集まりやすい。

そうした季節感を重視しているらしい中央公論は、少なくともここ10年ほどは毎年、2月号で大学特集を組むのが慣例となっている。その多くは拙速な大学改革を批判する内容だ。同誌にとっては冬の恒例行事ともいうべき特集なのだろう。

3年前の特集タイトルは「大学国際化の虚実」、一昨年は「国立大学文系不要論を斬る」、そして昨年は「国立大学は甦(よみがえ)るか」と、だんだん撤退戦の様相を呈してきたところで、今年の特集名は「徹底討論 大学入試改革」。もとより中公の執筆者の主体は大学教員である。自身に直接絡む大学自体の改革という、いわば切れば血の出るテーマから、入試内容の改革というやや迂遠(うえん)な話題へと視点を移した今回は、例年の悲痛ぶりよりは穏やかなトーンにも感じられた。

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