神奈川県立がんセンター(横浜市旭区)で医師が相次いで退職の意向を示し、重粒子線治療施設が稼働停止する恐れがあった問題で県は24日、医師が確保できたと発表した。3月末までは治療が継続できる見通しで、黒岩祐治知事は「最悪の事態を逃れることができた。県民の命を守ることができて安堵(あんど)している」と述べた。
神奈川県によると、同治療には治療を2年以上行った経験がある医師を含めた常勤医師2人が必要。同センターでは、5人の常勤医師のうち4人が1月末までに退職する意向を示していた。
神奈川県では県内外の医療機関に医師派遣を求めるとともに、退職意向を示していた医師が退職時期を延ばしたことなどから、常勤4人が確保できた。4月以降も派遣継続を要請する方針。
一方、医師の退職理由の調査委員会も同日、報告書を発表。長年勤務していた医師が外部機関への研修を命じられて退職し、その医師に師事していた他の医師が相次いで退職を決意したことや、医師間でパワーハラスメントが発生していたことが明らかになった。
同施設は平成27年12月に稼働開始。がん細胞消滅を図る「世界最先端のがん治療」とされる。