京都大iPS細胞研究所の任期付き研究者が論文のデータを捏造(ねつぞう)、改竄(かいざん)していた問題で、山中伸弥所長は24日、「進退でいろいろご心配いただいているが、今は所長の職務をしっかり果たして参りたい」と語り、所長を辞任する考えはないと明言した。京都市内で行った講演で述べた。
山中氏は22日の記者会見で、自らの進退も含めた責任の取り方を検討すると発言していた。この日の講演では、論文不正問題について改めて謝罪。「今回の論文不正がなぜ起こり、防げなかったかを検証し、しっかりした再発防止策が必要になる」と説明した。
また、寄付などでiPS細胞(人工多能性幹細胞)の研究を後押ししてくれた支援者らを念頭に「iPS細胞で病気を克服するビジョンは変わらない。私たちは時間をかけ、失った信頼、信用をもう一度取り戻すよう頑張りたい」と話した。
山中氏は京都商工会議所が主催するイベントで「iPS細胞がひらく新しい医学」をテーマに企業経営者ら約1300人を前に講演した。