浪速風

iPS論文不正の根は研究者の不心得だけなのか 「科学立国」が泣く〝ブラック研究所〟の内情

iPS細胞に関する論文データ捏造で謝罪する山中伸弥所長(左)ら=22日午後、京都市左京区の京都大学
iPS細胞に関する論文データ捏造で謝罪する山中伸弥所長(左)ら=22日午後、京都市左京区の京都大学

科学者の言葉には含蓄がある。「未知の世界を探求する人々は、地図を持たない旅行者である。地図は探求の結果として、出来るのである。目的地がどこにあるか、まだわからない。もちろん、目的地へ向かって真直ぐな道など、出来ていない」。湯川秀樹博士の自伝「旅人」から。

▶京都大iPS細胞研究所の助教による論文のデータ捏造(ねつぞう)と改竄(かいざん)は、ありもしない近道を地図に書き込んだようなものだ。特定の研究課題について任期付きで雇用されており、期限が迫って成果を焦ったのか、「論文の見栄えを良くしたかった」という。科学者にあるまじき行為で、再生医療への不信を招きかねない。

▶不正は許されないが、スタッフの多くが非正規雇用とは驚いた。山中伸弥所長は「これが民間企業なら、すごいブラック企業。何とかしないといけない」と訴え、マラソン大会に出場するなどして支援を呼びかけてきた。こんなありさまで「科学立国」とはおこがましい。