そこで県は一昨年12月、付加価値をプラスしてブランド力を上げようと、イチゴや柿など、品質面で特に優れた特産品を県が認証する「プレミアムセレクト制度」の対象に大和牛を加えた。牛肉のおいしさの評価に欠かせないオレイン酸含有率などで、極めて厳しい独自基準を設定。それをクリアした最高品質の肉はプレミアムセレクトとして高値で取引され、高級レストランなどに卸されている。
農家の減少課題
年間500頭以上が出荷されるが、これまでにプレミアムセレクトに認証されたのはわずか42頭。大和牛流通推進協議会の山尾佳輝・生産部会長(70)は、「品質のいい肉ができればもうけが出る。制度が始まり、生産者はより高品質な牛の生産に向け、切磋琢磨(せっさたくま)している」と胸を張る。だが、一方でこう指摘した。「大和牛のおいしさを広めようにも、生産農家に若い後継者がいないため、飼育頭数は減る一方だ」
畜産農家の後継者不足は全国的な課題だ。新規就農についても、県担当者は「畜産は周辺住民の理解や畜舎の問題があり、一から始めるのは難しい」と話す。そのため、県では廃業した生産農家の施設と新規就農希望者とをマッチングさせるなど、担い手育成の工夫を模索している。