ガンジスのほとりで

「おしん」を愛する国 中国の影響増すスリランカで言われたこと

 「お前は『おしん』を知っているか」

 スリランカ南部のハンバントタ港を取材した際、利用したタクシーの運転手がこう切り出した。ドラマ「おしん」は世界各地で人気を博したが、スリランカも例外ではない。1990年代以降も再放送され、高視聴率を記録し続けたという。「俺の友達は子供にオシンと名付けた。男の子だけどな」と、運転手は真偽不明なことを口にした。

 おしんだけでなく、スリランカは総じて日本に好意的だ。スリランカ人がしばしば語るエピソードが、第二次世界大戦後のサンフランシスコ講和会議での演説だ。登壇したジャヤワルデネ代表は「憎悪は憎悪によってやむことなく、愛によってやむ」と話し、対日賠償請求権の放棄を宣言。日本の国際社会への復帰を後押しした。「そのとき以来の長い交流がある」と、複数のスリランカ人が異口同音に話した。

 現在、周辺国の例に漏れず、スリランカも中国の影響力が増している。ハンバントタ港は中国の巨額融資で建設されたが、金利の負担が重く、中国に99年間明け渡す格好となった。「日本はこの港に投資しないのか。スリランカ人はその方が喜ぶと思うが」と港を遠目にドライバーは話した。こちらが日本人と知ったお世辞なのかもしれないが、その表情に笑顔はなかった。(森浩)

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