【映画深層】キャリア半世紀超の小林稔侍が映画初主演 高倉健との出会いが実を結んだ「星めぐりの町」(3/4ページ) - 産経ニュース

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映画深層

キャリア半世紀超の小林稔侍が映画初主演 高倉健との出会いが実を結んだ「星めぐりの町」

 「24歳のときに、どこかで区切りをつけなきゃいけないと思った。よし、俺の人生はもうないんだ、これで終わったんだ、と。そう思うと、将来どうなろうとあきらめがつく。それはやっぱり、高倉健がいたからですよ。森の石松が清水次郎長(しみずの・じろちょう)に憧れて子分にしてくれっていう、あれと同じです。この人と一緒にいられるんだったら、芽が出なくても、花が咲かなくてもいい。そういう思いでずっと来ましたからね」

 こうして高倉の背中を見ながら、こつこつ脇役を演じ続け、やがて86年、NHK朝ドラ「はね駒(こんま)」のヒロインの父親役で注目を浴びる。99年には高倉と共演した映画「鉄道員(ぽっぽや)」で日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を受賞するなど、その後は映画やドラマになくてはならない存在として引っ張りだことなる。

出会いは明日をつなぐ

 「やっぱり出会いなんですよ。高倉さんとの出会いが実を結ばせてくれたのかなと思いますね」と謙虚に語る小林によると、今回の「星めぐりの町」で演じた豆腐職人の勇作こそ、まさに高倉そのものだという。

 映画の中で、勇作は預かった政美少年に対し、特に何も語らない。ただ黙々と豆腐を作り、売りに行く。その姿を見ることで、政美の心に変化が訪れる。

 黒土監督も高倉のファンで、トレードマークだったジャンパー姿の場面も数多く登場する。「誰だってジャンパーぐらいは着るが、日本であの姿というとやっぱり高倉さんですからね。監督の希望とはいえ、何かまねしているみたいで気恥ずかしかったが、考えてみると、そういう思いを僕に託してくれる人がいるなんて、ありがたいなと思いますね」と小林。