--はじめてまとまった小説を書いたのは?
「今読むと恥ずかしいような小説でしたら学生のころに書いてたんですけど、皆さんの前に出しても恥ずかくないものは、55歳で小説講座に入ってからです」
--選考委員の作家、堀江敏幸さんが「言葉に勢いと活気があった」「方言とあいまって、エネルギーを感じた」などと評していた。方言で表現することについて
「方言は私にとっては一番自分に正直な言葉です。自分の底の思いを語るに適した言葉。標準語は着飾って、ちょっと体裁をつくろうような感じ。方言で表現することで、本当の思いが直接何のてらいもなく、言葉として表れてくると思います。エネルギーがあるといわれたなら、本当にうれしいことです」
--出身地、岩手・遠野への思いは
「同級生や親戚、知人が皆、楽しみにしているよと言ってくれてたので、いい結果でほっとしています」
--方言を使った小説が評価されたことについて
「東北弁に限らず、どこの言葉でも味がある。九州の言葉だろうが、大阪弁だろうが、方言にはそこで生きてきた人の生活の匂い、味わいがあって私、大好きなんです。たまたま私は東北に生まれて、やっぱり自分の中では東北人としての誇りというか、喜びがあります。震災でひどい目にあっているので、私は私なりに、一緒にがんばっていきましょうという気持ちを、おこがましいですけど、何とか表現したいものだと思っています」