阪神大震災23年

神戸発おしゃれ「缶マッチ」-震災教訓に誕生 側薬を缶の内側に、「キティ」デザインも 女性に人気 

【阪神大震災23年】神戸発おしゃれ「缶マッチ」-震災教訓に誕生 側薬を缶の内側に、「キティ」デザインも 女性に人気 
【阪神大震災23年】神戸発おしゃれ「缶マッチ」-震災教訓に誕生 側薬を缶の内側に、「キティ」デザインも 女性に人気 
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 阪神大震災の被災地となった神戸市長田区のマッチ製造会社が震災を教訓に考案した「缶マッチ」が、女性らの人気を集めている。防水のため着火用の側薬(そくやく)を缶の内側に取り付けた防災グッズだが、女性らが注目するのは「ハローキティ」などかわいらしいデザインのパッケージ。製造会社の社長は「おしゃれなアイテムが、万が一の備えにもなる」とアピールする。

 製造元は明治43年創業のマッチ製造会社「ナカムラ」。5代目社長の中村和弘さん(53)は平成7年1月17日早朝、神戸市中央区の自宅マンションで経験したことのない地鳴りに目が覚めた。家具が倒れ、壁に亀裂が入っていた。急いで向かった工場も床がひび割れるなどし、操業できる状態ではなかった。

 復旧に向けて工場と自宅を往復する中、ガスが止まった被災地でマッチで火をつけて暖をとったり、食事をつくったりする住民を目にした。「体を温めてくれるのもご飯を炊くのも火。マッチは必要だと実感した」と振り返る。一方、マッチが消火活動などで水にさらされて着火できず、困っていた被災者が多いことにも気づいた。

 震災での経験をもとに、湿気に強いスチール缶入りのマッチ作りを開始。着火のための側薬を缶の内側に取り付けるアイデアを考案し、20年から販売した。さらに「防災グッズとして各家庭に置いてほしい」と、富士山や飛行機など明治から昭和にかけてのマッチ箱の図柄をデザインすると、レトロ感から人気が出た。

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