訪日客と若者に照準 「城山ホテル鹿児島」に5月から名称変更

 鹿児島市の城山観光(東清三郎社長)は、今年でグループ創業70周年の節目を迎えるのに合わせ、同市で運営する老舗ホテル「城山観光ホテル」の名称を「城山ホテル鹿児島」に変更する。創業記念日の5月8日に切り替える。外国人観光客をさらに誘致し、若者世代の取り込みにもつなげるのが狙いだ。 

(南九州支局 谷田智恒)

                   ◇

 城山観光は昭和23年、鹿児島最大の繁華街・天文館で「キャンデーストア」として創業した。

 飲食業や娯楽業など事業を広げ、36年に「城山観光」を設立し、38年に「城山観光ホテル」を開業した。西郷隆盛が西南戦争(明治10年)で立てこもり、最期を迎えた城山に建つ。客室は365室を数え、展望露天温泉もあり、鹿児島市街や桜島を一望できるのが特徴だ。

 東京のホテルオークラと提携し、国際ホテルチェーン「オークラホテルズ&リゾーツ」のメンバーホテルでもある。

 名称変更はホテルの開業以来、初めてだ。最近はインバウンド(訪日旅行)効果で、台湾や香港などから南九州を旅先に選ぶケースが増え、鹿児島を代表する同ホテルの利用者も増加している。

 現在、全宿泊者数に占める外国人比率は14%だが、今後は20%を目標に掲げる。

 そこで、東社長らは、ホテル名に地名を入れることで、鹿児島の地域をより一層、国内外にPRする姿勢を明確に打ち出すべきだと判断した。

 これまでは、英語では「HOTEL SHIROYAMA KAGOSHIMA(ホテル城山鹿児島)」と表記されており、今回の名称変更で、日本語読みとの相違も解消する。

 また、「観光」の文字がなくなれば、「外国人観光客からワンランク下のホテルだとはみられなくなり、若者世代に対しても、古い老舗旅館とのイメージを払拭できる」(同ホテル関係者)といったメリットも期待できるという。同ホテルは昨年夏からは耐震改修も順次進めており、より安心感も提供する。

 同社の広報担当者は「名称変更をきっかけに、さらなるインバウンドの誘致強化に努め、鹿児島を世界中に発信したい」と張り切っている。

会員限定記事会員サービス詳細