皇居で新年恒例の歌会始 お題は「語」 天皇、皇后両陛下のお歌披露

 新年恒例の「歌会始の儀」が12日、皇居・宮殿「松の間」で、「語」をお題に行われた。天皇、皇后両陛下と皇太子ご夫妻、高円宮妃久子さまの三女、絢子さまのお歌、一般応募の2万453首(選考対象)の中から入選した10人の歌などが古式ゆかしい独特の節回しで披露された。天皇陛下のお招きで歌を詠む召人(めしうど)、小説家で日本芸術院長の黒井千次さん(85)が務めた。

 宮内庁によると、陛下はある春、皇后さまとともに皇居・東御苑を散策中、二の丸庭園の雑木林で絶滅危惧種のキンランの花を見つけたときのことを詠まれた。戦後間もない学習院中等科時代に東京・小金井で初めてご覧になった思い出もあるという。

 皇后さまは早春のある日、象徴のあるべき姿を求めてきた陛下の歩みを思いつつ、穏やかな日差しの中におられる陛下を見上げた際のことを歌にされた。

 皇太子さまは昨年11月、皇太子妃雅子さまとともに東日本大震災の被災地である宮城県名取市の閖上(ゆりあげ)地区をご訪問。災害公営住宅に入居した被災者の苦労をしのび、今後の幸せを祈った思いを込められた。雅子さまも懇談した被災者が今後に希望を見いだしていることに安堵(あんど)し、うれしく思った気持ちを表現された。

 秋篠宮ご夫妻の長女、眞子さまは今年11月に結婚するため、最後の歌会始となられた。平成28年9月に訪問したパラグアイで日系人たちが語った思いが心に残っており、会話を思い出しながら詠み上げられた。

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