テレビ電話などを介して医師が診断を行う「遠隔診療」の診療報酬を増やすため、厚生労働省が年度内に具体案を作成し今春から適用する方針を決めたことが10日、分かった。遠隔診療の報酬が通常の対面診療よりも大幅に低いことが普及のネックとなっており、対面診療と同等近くにする案も浮上。医師の過疎化が進む山間部や離島でニーズがある一方、安全性や有効性に課題があり、同省研究班が年度内にガイドラインも作成する。
遠隔診療では、医師がネットやメールを通じて患者や別の医師からデータを送ってもらい、テレビ電話の映像などを見ながら在宅の患者を診察する。厚労省によると、これまで「診療は医師の直接対面が基本」で、医師法では診察なしの診療を禁じていた。
厚労省は平成9年、「離島・僻地」などに限って、遠隔診療を認める通知を出した。27年には離島などは例示にすぎないと通知したため、これを機にベンチャー企業などが一気に参入。ある企業は「多忙な会社員や、育児で通院できない母親らにとっても負担が減る」と話す。29年6月に閣議決定された「未来投資戦略2017」でも、遠隔診療の推進を明記。報酬増の具体案は、厚労相の諮問機関、中央社会保険医療協議会(中医協)の議論を経て、厚労相が決定する。