米空母攻撃、核報復…日本、中国海軍の動きを警戒 自衛隊が対潜能力強化へ

 また、中国が米国を核抑止するためには、深海で息を潜める潜水艦が米本土に報復する「第2撃能力」が必要だ。中国は南シナ海で戦略原子力潜水艦(SSBN)を運用する構想を持つが、晋(ジン)級潜水艦の弾道ミサイル(SLBM)は射程8千キロで米本土に届かない。

 防衛省で中国軍の動向を分析する担当者は「中国が米本土を核攻撃するためには、潜水艦が太平洋に出るしかない」と分析する。

 こうした潜水艦の動きを警戒・監視するのは、高い対潜戦能力を持つ自衛隊の役割だ。潜水艦勤務の経験が長い伊藤俊幸元海将は、防衛省が11日の潜水艦の動きを公表した理由について「お前の行動は全部見ているぞということを示すためだ」と説明する。

 だが、中国は2020年までに潜水艦を69〜78隻に増強する見通しで、長時間潜航するための大気非依存型推進(AIP)システムも獲得した。海上自衛隊の潜水艦乗組員は「以前に比べて静粛性が増しているのは間違いない」と証言する。政府は策定作業を進める平成31年度以降の中期防衛力整備計画で、最新鋭P1哨戒機の増強など対潜戦能力向上をさらに進める方針だ。(杉本康士、千葉倫之)

会員限定記事会員サービス詳細