浪速風

着物は着てこそ 行方くらました「はれのひ」、日本文化に泥を塗る計画的詐欺だ

成人の日当日の「はれのひ みなとみらい店」は店員などおらず、警備員が立っていた=8日、横浜市中区桜木町
成人の日当日の「はれのひ みなとみらい店」は店員などおらず、警備員が立っていた=8日、横浜市中区桜木町

中島要さんの時代小説「着物始末暦」シリーズは、染み抜き、洗い張り、仕立て直しなどを請け負う着物職人の余一が主人公である。着物に関する何でも屋ぶりを発揮して事件を解決する。「きものは着るからきものなんだ。着なきゃただの布きれじゃねぇか」

▶その着物は着られることがなかった。いや、最初から用意していなかったのではないか。振り袖の販売・レンタル業者「はれのひ」(横浜市)が成人式当日に行方をくらました。一生に一度の晴れ姿を楽しみにしていた新成人たちは途方に暮れた。余一の手を煩わすまでもあるまい。明らかに計画的な詐欺である。

▶矢野経済研究所によると、呉服市場はピーク時の6分の1に縮小している。高価だし、着付けも難しい。だが、「ハレの日」にレンタルでも着てみたいという女性は少なくない。最近は日本文化を体験したいという訪日外国人にも人気だ。せっかく着物に日が当たり出したのに、泥を塗る行為だ。