国有地、架空の投資勧誘が続発 巨額詐欺事件に発展する可能性も

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 「渋谷の一等地にある国有地を格安で買い取れる」

 同じ投資会社社長に話を持ちかけてきた60代の男性は、「国有地の売却先を決めるための一般競争入札が行われるが、この入札は落札予定価格が事前に決まった『出来レース』で、関係先の法人に20億円を支払えば落札者の権利が得られる」などと説明。この法人には経済産業省や財務省など複数の省庁の官僚OBが所属し、そのコネクションを通じて取引を成立させると主張していたという。産経新聞の取材に応じたこの男性は「過去に国有地の取得に関する資金調達を依頼されたのは事実だが、いまはやっていない」と説明。会社社長は、「40億円の資金が入金された銀行口座の通帳の写しを要求してくるなど不審な点が多くて断った」と振り返った。

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 架空の国有地売却計画が事件に発展した事例では、警視庁が26年2月、東京都港区の不動産会社から約4億3000万円をだまし取ったとして男ら4人を詐欺容疑で逮捕している。男らが関与した事件の被害総額は約15億円に達したとされる。財務省関東財務局への相談や問い合わせも数年前から確認されているが、昨年に入ってからは「さらに目立つようになった」(同局担当者)という。

 29年2月には大阪府豊中市の国有地が学校法人「森友学園」(大阪市)に評価額より安価で売却されたとされる、いわゆる「森友問題」が発覚している。

 捜査関係者は、「『森友問題』で国有地に注目が集まったことをブローカーらが出資者集めに悪用している可能性もある」と指摘している。

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