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赤い腹見せる空母、沈みながら機関砲撃ち続ける巡洋艦…日本海軍の最後呉軍港空襲 元海軍兵が見た地獄絵図

 一命を取り留めた喜びなど微塵(みじん)も感じなかった。山本さんはただ呆然(ぼうぜん)とし、電信任務をこなしていた。無念の涙はとまらなかった。

奇跡的な生還

 戦艦「榛名」「伊勢」「日向」、空母「天城」など呉軍港に停泊中の軍艦が次々と大破していくなか、山本さんの乗艦する空母「鳳翔」は軽微な損傷だけで空爆から逃れている。

 それはいったいなぜか?

 「米軍の大空襲を想定し、その年の6月頃から江田島の島民たちが島を挙げて、鳳翔を守るために擬装してくれていたのです」と山本さんは説明する。

 擬装とは、艦橋や飛行甲板などを迷彩シートや草木で覆い、艦全体を島のように見せかけること。他にも擬装していた軍艦はあったが、上空から米軍機に見破られていたのだ。

 「鳳翔は全長約170メートルもあったんですよ。そんな巨大な空母を覆い隠すのですから、どれだけ多くの住民たちが擬装するために一生懸命、尽くしてくれたか…」。山本さんは感謝の思いを込めてこう振り返った。

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