その他の写真を見る (1/2枚)
腕に貼り付けたセンサーが体のグルコース(ブドウ糖)濃度を断続的に測定し、血糖値変動を推測する糖尿病患者向け持続血糖測定器が昨年9月、保険適用された。糖尿病患者は指先穿刺(せんし)による1日数回の血糖自己測定が必要だが、針を刺す痛みから測定をやめてしまい、血糖管理が不十分になってしまうケースもある。生活リズムに伴う血糖値変動を捉え、痛みの負担を低減する新しい血糖管理として注目されている。(宮田奈津子)
◇
痛みはほとんどなし
保険が適用されたのは、アボットジャパン(東京都港区)の持続血糖測定器「FreeStyle(フリースタイル) リブレ」。
五百円玉大のセンサーを腕に貼り、細い針を5ミリほど皮下に挿入する。いったん装着すると、痛みはほとんどないという。間質液(細胞周辺の体液)からグルコース濃度を測って15分ごとに記録し、最大14日間の連続測定が可能。読み取り機をセンサーにかざすと8時間分の履歴や血糖値の変動傾向などが表示される。
適用対象はインスリンを自己注射している1型、2型糖尿病患者など。日本糖尿病学会では、正確な血糖値把握のため、現状では血糖自己測定との併用を推奨している。また、保険償還価格の設定から、採算割れを懸念して採用を踏みとどまる医療機関もあり、普及への課題もある。
8歳で1型糖尿病を発症したエアロビック競技元日本代表の大村詠一氏は、「リブレは装着の違和感も少なく、食事や運動など生活と連動した血糖変動が分かり血糖管理がしやすい。多くの人が利用できる環境を整備してほしい」と期待する。