野口裕之の軍事情勢

90万人殺傷 水爆並の北の炭疽菌兵器 亡命兵士が持っていた謎の抗体との関係は?

遺伝子操作を加え「より邪悪な新兵器」へ

 古典的生物兵器ですら恐るべしだが、古典的生物兵器は《遺伝子組み換え技術》で「最先端生物兵器」へと激変する。遺伝子操作でワクチンを拒む変異ウイルスをテロ国家・組織が開発・散布すれば、新ワクチンの完成→薬効確認の間、感染は勢いを極大化する。

 実際、ソ連は抗生物質=ペニシリンで適正に治療を行うと致死率を10%未満に抑えられる炭疽菌に遺伝子操作を加え、「より邪悪な新兵器」に仕立てた。さすがだ。《生物培養特務室》を創設(1921年)し、「虐殺を自然死に見せかける研究」を重ねたソ連指導者ウラジーミル・レーニン(1870〜1924年)のDNAを、しっかりと受け継いでいる。

 冒頭で、金正恩・委員長の頭の中では、農作物と生物兵器の遺伝子操作に関する認識は同じ、と述べたのは以上のような「より邪悪な新兵器」が念頭にあったためだ。

 生物・化学兵器攻撃はもはや、「起こるかもしれない」ではなく、「いつ起こるのか」にシフトしたのである。