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プロ野球を引退した選手が学生野球を指導するために必要な「学生野球資格」。2013年に新制度が始まり、教員実務経験がなくても資格を取得できるようになった。かつてプロ野球関係者は学生に指導ができない時期もあったが、新制度のもとで多くの元プロ選手が学生野球の現場に足を踏み入れている。
ヤクルトで捕手としてプレーした芦沢真矢さん(59)もその1人だ。現役引退後、国内外のプロ野球でコーチ、監督を務め、14年に学生野球資格を取得。15年から啓明学園高(東京)の監督を務めている。
プロの世界で培った技術指導はもちろん、特に大事にしているのは野球以外の指導。「生きていく中で大切なのは人間力。そこを学んでほしい」。立派な社会人になってほしいとの思いで、日々選手と向き合っている。
■部員8人からのスタート
啓明学園高の野球部は充実の練習環境が整う。内野が土、外野が芝の野球専用グラウンドがあり、両翼にはポールまで立っている。15年に芦沢監督が就任したことで環境はより豪華になった。
しかし、肝心の戦力は整っていなかった。芦沢さんが着任した15年2月の段階で部員はわずか8人。春に新入生が加わり、部員はようやく11人になったものの、けがや病気で選手が欠けると、相手チームから選手を借りて練習試合をせざるを得なかった。