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走行時に水しか出さないため「究極のエコカー」とされてきた水素で走る燃料電池車(FCV)。その存在感が世界で加速する「電気自動車(EV)シフト」のムードに押されて薄れつつある。トヨタ自動車やホンダはなぜFCVの旗を降ろさず、燃料を入れる水素ステーションの普及にも意欲的なのか。国内自動車大手が水素の活用にこだわる理由を探った。
「水素で『つくる』『つかう』『つながる』」
平成29年12月8日、東京都江東区の東京ビッグサイトで開かれた環境関連の展示会「エコプロ2017」をのぞくと、会場の一角にそんなキャッチコピーを掲げたホンダのブースがあった。
「つくる」技術として高圧水素を製造・貯蔵しFCVに充填(じゅうてん)する新型の水素ステーションを、「つかう」技術としては5人乗りのセダン型FCV「クラリティフューエルセル」も展示。FCVに接続し電力を供給する持ち運び可能な給電機など、「つながる」技術のアピールにも熱がこもる。
会場でホンダの担当者は「燃料の水素は季節をまたいで長期にわたってためられる」と回答。地球温暖化防止の国際要請が強まる中、エネルギーの「上流」から水素の活用を考える必要性を説く。
二酸化炭素(CO2)を排出しない太陽光や風力などの再生可能エネルギーからも水素を製造し貯蔵できるため、「温暖化対策の切り札」になる。