■まるで「宇宙船」のような構造
12月18日付けの『Nature Astronomy』オンライン版で発表された観察報告によると、オウムアムアは炭素が多く含まれる乾燥した堅い表面で覆われているため、17年9月に太陽に最接近した際に、水と氷からなる中心部が蒸発するのを防ぐことができた可能性があるという。宇宙船の船体と同様の働きをしたと考えていいだろう。
北アイルランドにあるクイーンズ大学の天文学者で、調査のリーダーを務めたアラン・フィッツシモンズは、「基本的には、とてもいい具合に焼けたベイクド・アラスカ(アイスクリームの周りにケーキ生地をのせてメレンゲで覆い、焼き目をつけた菓子)のようなものです」と説明する。「外側はかなり温かいですが、中心部にはねばねばした凍った物質があるのです」
ただし現時点では、オウムアムアの中心に氷があると断定することはできない。地球外生命がいるかどうかについてはなおさらだ。それでも、研究チームが実施した数回のスペクトル観察では、この天体がかなり前から凍っていた可能性が示唆されている。