続・消えるがん消えないがん

非喫煙者を侵す遺伝子変異 たばこと無縁「なぜ肺がんに」

 「私はたばこを吸ったことがない。なぜ肺がんになったのか」

 千葉市緑区の主婦、佐藤美恵子さん(65)は6年前に肺がんという診断を受け、もんもんとした思いにとらわれた。自治体の健診でエックス線検査は毎回「異常なし」の診断だった。佐藤さんも一緒に暮らす夫も喫煙習慣はない。

 最初の異変は平成24年3月ごろから夏にかけ、ひどいせきが続いたことだった。たまりかねてクリニックで検査をすると、肺の画像で「雲のようなモヤモヤ」が見つかった。

 異常はあるが、診断は定まらず、がん研有明病院(東京都江東区)に転院。左の肺に直径13センチの白い影を確認し、手術で切除した。病理検査の結果、「非小細胞肺がん」の一つである「腺がん」とわかった。

 肺腺がんは主に肺の気管支の末端の分泌腺に出現するがんだ。近年、非喫煙者でしかも女性に多く発症している。

 国立がん研究センターは28年8月、「受動喫煙の肺がんリスク評価は確実である」とする研究結果を発表した。反論も発表されたが、非喫煙者でも肺がんになる可能性があるという指摘をさらに強めたといえる。たばこの燃焼部分から出る副流煙は、フィルターを通しておらず、燃焼温度も低いため主流煙よりも多くの有害物質を含むというのがその理由だ。この有害物質は「非小細胞肺がん」の一つ、「扁平(へんぺい)上皮がん」との関係が指摘される。

 ただ、この扁平上皮がんは、佐藤さんが患った腺がんとは進行具合など病態も治療法も大きく異なっている。

会員限定記事会員サービス詳細