その他の写真を見る (1/2枚)
平成29年も7月の九州北部豪雨を始めとした自然災害が全国で相次いだ1年となった。水害や地震など災害現場では情報通信技術の発達で救助や情報収集の手段が高度化。内閣府などは12月、助けを求める声に反応する救助用ドローンを開発し、政府はさまざまな用途が期待できるドローンを30年度から各地に配備する。インターネットを使った情報の受発信も盛んで、政府は官民合同の情報チームを29年度内に設立する。ただ、専門家からは「海外はもっと先進的」との声も。懸念される首都直下地震や南海トラフ巨大地震を前に、さらなる技術活用が求められそうだ。(社会部 市岡豊大、高橋香菜)
ドローンが飛ぶ現場
「人が近づけない現場に急行し、要救助者を真っ先に発見できる。ロボット聴覚で先進的な日本だから世界で初めて実現できた」
東京工業大の中(なか)臺(だい)一博特任教授は29年12月7日に同大学で開いた記者会見で、こう胸を張った。内閣府や同大学の研究チームが開発したのは災害救助用ドローンに装備し、助けを求める声によって、がれきの中に埋もれた人の位置を特定するシステムだ。
ドローンはプロペラ音が大きく、周囲の音声分析は困難とされてきたが、このシステムであれば騒音の中でも20〜30メートルの範囲で発せられた人の声を1、2秒で聞き分け、要救助者の位置を特定できる。特定でき次第、救助隊が向かう。