主張

年のはじめに 論説委員長・石井聡 繁栄守る道を自ら進もう

 異例の新年である。「戦後最大の危機」を抱えたまま、幸運にもこの日を無事に迎えることができた。

 朝鮮半島をめぐる緊張がさらに高まる場面も訪れるだろう。平和への願いは尊い。だが、祈りだけで国や国民を守るのは難しい。正月とはいえ、そうした状況に日本が置かれていることを忘れてはなるまい。

 極東に浮かぶ島国が世界の荒波にこぎ出した明治維新から、150年という大きな節目に当たる。

 当時の列強の組み合わせとは異なるものの、日本を押さえ込み、攻め入ろうとする国が出現している。

 世界経済に目を向けると、座標軸はめまぐるしく変化している。少子高齢化を切り抜けるため、有効な手立てが見つかったわけでもない。

 難局を乗り越えて生存していくには、国も個人も自ら針路を決めなければならない。その選択をためらっている暇はあまりない。

 国防の最前線に立ち、最後の砦(とりで)となる自衛隊に正月はない。不審な船はいないか。海面、海中に空からにらみをきかせる哨戒機P3Cは、原則として天候にかかわらず飛ぶ。旅客機のような欠航はない。

 その北端の基地が青森県八戸市にある。1月の平均気温は氷点下だ。この時期、八戸航空基地の隊員らにとって、任務の遂行は雪や凍結、時間との戦いでもある。

 冬季には除雪隊を編成し、24時間体制で滑走路を維持する。潤滑油は硬く、格納庫の扉は重く開かない。準備を急ごうと機体を早く外に出せば、雪が降り積もる。事故防止のため、雪は落とす。作業は迅速かつ念入りに行うことが求められる。

 基地の食堂では新年、「雑煮風」のメニューが出る。だが、隊員らが家庭でおとそ気分を味わうのは難しい。休暇は交代で取る。正月休みは子供の学校が始まってから、という隊員が少なくない。

 同じく海を守る海上保安庁の警戒活動も、途切れることはない。警察、消防も同様である。たくさんの人々に守られながら国民は平穏に正月を過ごす。改めて感謝したい。

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